ヘッド・ハンターからの電話はこんな感じです
昔に比べれば増えたとは言っても、ヘッド・ハンターから電話が掛かってくると言う経験をすることは、あまり無いと思います。
ただ、いざ掛かってきた時に、
「頭が真っ白になってどう対応したら良いか分らずに、何をどう答えたかも怪しい内に、何となく電話を切ってしまった」
と言うのでは、折角のチャンスを逃すことにもなりかねませんから、私の個人的な経験(外資系金融&マーケット部門)に限っての話になりますが、少しお話しておこうと思います。
まず、気をつけて頂きたいのは、ヘッドハンターからの電話には、大雑把に言って2つのタイプがあると言うことです。
一つはヘッド・ハンター(首狩り族)と言う呼称はやや失礼で、エグゼクティブ・サーチと呼ばれる人達からの電話です。
もう一つは、まさにヘッド・ハンター(中には「人ころがし」と言う風に呼びたい人達もいます)からの電話です。
エグゼクティブ・サーチと呼ばれる人達は、あらかじめこちらの経歴・職歴その他をすべて洗い出しています。
その上で、
「こういうポジションにこういう人を雇いたい」
と言う雇い主側の依頼を受けて、電話を掛けて来ます。その場合の会話は、以下の様な感じになります(最近の例です)。
ヴォータン「はい、ヴォータンです」(自分の席の電話には、名乗って出ます)
エグゼクティブ・サーチ(以下 ES)「突然のお電話で恐縮です。私は○○社のXXと申します。ヴォータン様でいらっしゃいますか?」
ヴォータン「はい、そうです」
ES「実は、私どものお客様でヴォータン様と一緒に仕事をしたいと言う方がいらっしゃるのですが、、」
ヴォータン「それは、私のところで働きたいと言うことですか?」
ES「失礼致しました。表現が正しく無いですね。ヴォータン様に新しいポジションをご提供して、同じ組織の一員として働いて頂きたいと言うことです」
ヴォータン「わかりました。私に対するポジションのオファーですね」
ES「その通りです。つきましては、お電話ではなんですので、一度落ち着いてお話させて頂けるお時間を頂戴できませんでしょうか」
(ここで、「今の組織から出てみようか」「ともかく話を聞いてみようか」と思えば)
「承知しました。それでは、今週木曜日の午後7時以降で如何ですか、、、、」
(今の、組織とポジションにまったく満足していれば)
「折角のお申し越しですが、現在のポジションに非常に満足しておりまして、、」
となります。
最初から、ヴォータンに狙いを定めて電話をしてきている訳ですから、この時点でヴォータンに興味を持っている会社名と、大体のポジションまで最初から言う場合もありますが、基本的には依頼主の名前は直接会ってからと言うことになります。
ヘッド・ハンターの場合は、我々が「コールド・コール(Cold Call)」(飛び込み営業)と呼んでいるものになります。
これにもレベルがあって、何とかヴォータンの名前と電話番号だけは探り出して(メディアに会社名と名前が出ていますから)飛び込んでくるタイプと、まったくのまさに「飛び込み」があります。
誤解の無いようにあらかじめ述べておきますが、
「コールド・コールはあてずっぽうに掛けて来る電話だから怪しげで悪い」
と言う訳ではありません。
確かに、コールド・コールを掛けて来るヘッド・ハンターは、
「人を右から左に動かしてナンボ」
と言う場合が多いですから、人をモノとしてしか見ていないと言う批判はあります。
この批判は90%は正しいと思います。
ただ、こういう電話が無いと
「実は、今のポジションと違うところでチャレンジをしてみたい」
と言う人が転職のチャンスをつかむきっかけが無いことになってしまいます。
もちろん、昔と違って
「そう言う人は人材紹介会社に登録すれば良いだろう」
と言う話もありますが、ヴォータンの様に雇う立場からすると、人材紹介会社はイマイチです。
エグゼクティブ・サーチは、組織の大小に拘わらず、その担当者の個人的な人脈で生きていますから、いい加減な人材を紹介してくることはありません。
ヘッド・ハンターも、以前は金融業界にいたと言う人が独立して、個人もしくは極めて小規模でやっているケースがかなりあります。
彼等は、ヴォータンの様な依頼主と個人的につながることが大事なので、いい加減なことは出来ません。
その点、会社と会社で委託契約を結んで、、、、と言う人材紹介会社の場合、先方の営業マンはただの雇われサラリーマンですから、
「自分のところに登録してきた人をいかに転がすか」
と言う事で、それこそ
「何だコリャ!?」
と言うような履歴書を送ってくることがあります。
と言うことで、ヴォータンはいまは人材紹介会社を一切使っていません。
ちょっと、脱線しましたがコールド・コールはこんな感じです。
1)名前と電話だけは調べてきた例
ヴォータン「はい、ヴォータンです」
ヘッド・ハンター(以下HH)「初めまして。私▲▲社の△△と申します。ヴォータン様のお名前を新聞でお見かけしました。実は、私どもはマーケットでご活躍の皆様に良いポジションをご提供することが仕事でして、、(以下、色々と説明:中略)。今、ご転職のご興味はお持ちでいらっしゃいますか?」
ヴォータン「どちらからかオファーを頂いていると言う事ですか?」
HH「いえ、具体的に頂戴している訳では御座いませんが、ヴォータン様であれば、必ずや良いポジションを、、、」
ヴォータン「どうも、有り難う御座います。ただ、もう少し私に関してお調べになってからお電話を頂戴した方が良いと思います。」
もちろん、今の会社を辞めようかな?と思っている方は、ヴォータンの様な答え方をしてはいけません。
先方のリストに登録してもらうことが第一歩ですから、会うだけはあって見ましょう。
その上で、相手の人物をよく見てください。
こちらの希望を聞かず、やたらと紹介したがる人はやめて置いた方が良いでしょう。
特に、紹介を受けて先方の会社に言ってみたら、先方のニーズに自分がマッチしていなかった(能力が足りなかったのではなくて、要求されているスキルが違っていた)場合は、「人ころがし」タイプだと思って良いと思います。
2)典型的「コールド・コール」(昨日、あった例です)
内線で秘書から
秘書「ヴォータンさん、代表電話に●●社の◎◎さんと言う人方からお電話なんですが、ディーリング・ルームの方をお願いしたいと、、、、」
ヴォータン「はい、良いですよ。回してください」
ヴォータン「はい、お電話変わりました。金融ナントカカントカ部です」
HH2「私●●社の◎◎と申します。あのーーーーーディーラーの方でいらっしゃいますか?」
ヴォータン「はい、こちらはディーリング・ルームですので、私はディーラーです」
HH2「あ、そうですか。あの、お名前を頂戴してもよろしいですか?」
ヴォータン「ヴォータンと申します」
HH2「ヴォータンさんですね。あの、お仕事はどの様な?」
ヴォータン「はい、ディーリングですが」
HH2「えーーーと、プロダクト的には何を扱っていらっしゃいますか?」
ヴォータン「中心は為替ですね」
HH2「あ、左様ですか。それで、オプションやデリバティブは如何ですか」
ヴォータン「ここ10年ぐらいは、そっちが本職ですね。ところで、◎◎さん、私のことはご存知ですか?」
HH2「はい。ヴォータン様と、、、」
ヴォータン「◎◎さん。実は、私はマネージャーなんですよ。」
HH2「ああ、そうなんですか。あのーーーー会社をお移りになるご希望は、、、」
ヴォータン「うーーーん、残念ながら無いですね」
(以下省略)
まあ、悪い人じゃないですから、丁寧に応対はしますが、代表電話に飛び込んできた場合は、秘書の人もどう対応していいか迷うので、私の方でこう言う形で処理します。
ちなみに、名前を名乗ってもこっちの正体に気付かずに態度が悪かったり、いきなり変な転職話を切り出したり、仁義違反(依頼主の名前をいきなりポンポン言う)をした場合には、
「XXさん、この世界で私の名前を知らない様では、ロクな仕事は出来ませんよ」
と、タンカを切ることもありますが、、、、
ちょっと、とりとめが無くなってしまって恐縮ですが、大体はこんな感じで電話が掛かってきますが、最後の例に近い様な
「あなた、どなたですか?」
タイプは、サラリーマン・ヘッド・ハンターがノルマをこなす為に、働いている可能性が高いですから、ご遠慮しておいた方が良いと思います。
信頼の出来るヘッド・ハンターは、転職の相談相手になってくれますし、はっきりと
「あの会社は人の出入りが激しいからやめて置いた方が良い」
と言うことを言ってくれます。
(激しい方が、ヘッド・ハンターにとっては商売になりますから、本当は有り難いはずですが、真面目なヘッド・ハンターは嫌います)
ここまで来れば、そう言う信頼の出来るヘッド・ハンターはどうすれば出会うことが出来るか?とお聞きになりたいですよね?
長年、業界にいるマネージャー(ただし外資系)は、必ず信頼の出来るヘッド・ハンター(エグゼクティブ・サーチ)と付き合いがあります。
ヴォータンもそうですが、自分の部門で人を雇いたい時に必ずお世話になっているからです。
変な人を紹介したら、二度とヴォータンの会社からは求人が来なくなりますから、きちんとした人を紹介してきます。
そこで、信頼感が蓄積されることになります。
逆にヴォータンが変なマネージャーだと思えば、彼らは紹介して来なくなりますから、、、まともなヘッド・ハンターとの付き合いが無くなってしまいます。
あなたが、まともな人であるのに、ヘッド・ハンターを紹介できない様なマネージャーは、業界では「失格」と見なされていると見た方が良いでしょうね。


