中川昭一財務・金融大臣の辞任で、与謝野馨経済財政担当大臣が3役兼務と言う事になりました。
この未曾有の景気後退期に、主力となるべき業務をすべて1人に集中することは、意思決定が迅速になると言うプラス面もあると思います。
もっとも、巷で不安視されている通り、3役兼務して果たして業務が切り回せるのか、、、と言う見方の方が妥当だと思いますが、、、
さて、そう言う話とは別ですが、先日の与謝野大臣(長くなるので、「大臣」だけにします)の
「社会民主主義発言」
には、気になるところがあります。
毎日新聞(オンライン版)によれば
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与謝野馨氏:自民、実は社会民主主義…新自由主義に疑念
与謝野馨経済財政担当相は10日の参院財政金融委員会で
「この10年間の自民党の政策は外国から輸入したものを無理やりに移植してきたのではないか」
と述べ、新自由主義的な経済政策に疑念を呈した。峰崎直樹氏(民主)の質問に答えた。
与謝野氏は
「この10年間の経済界の動きは決して我々が目指している社会ではない」
と指摘。
「『強者が栄え、弱者が滅びる』という感じは自民党内にはあまりない。自民党は実は社会民主主義の政党だと思っている」
と述べた。【田中成之】
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となっています。
「自由民主党の新理念」では
「(自由民主党は)真の自由主義・民主義政党である」
とあり、「新綱領」では
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○小さな政府を
私たちは、国、地方を通じて行財政改革を政治の責任で徹底的に進め、簡省を旨とし、行政の肥大化を防ぎ、効率的な、透明性の高い、信頼される行政をめざします。また、国、地方の適切な責任分担のもとで、地方の特色を活かす地方分権を推進します。
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とうたっています。
どう考えても「社会民主主義政党」であるはずがありません。
その自由民主党の看板を背負って選挙に出て、しかも3つの大臣を兼務する要職につく方が、政治思想に関してこの様な安易な発言をされるのは如何なものなのでしょうか。
記者は、「新自由主義に否定的」と補足していますが、ほぼ当たっているのでしょう。
与謝野大臣が、以前から、新自由主義=市場をベースにした経済運営に否定的であることは分っていました。
小泉前首相や竹中現慶應義塾大学教授のとった改革路線が、市場経済をベースにしていたことから批判的であったことも事実です。
では、どの様な経済運営を考えていらっしゃるのでしょうか?
経済学をちょっとかじったことがあれば、「市場の失敗」が発生することぐらい誰でも知っています。
与謝野大臣の発言からは、市場の失敗が嫌いなので、政府の介入と規制で救おうと言う意図が感じられます。
しかし、同じく経済学をちょっとかじったことがあれば、「政府の失敗」の方が、その数十倍も悪いことも知っています。
しかも、日本には社会民主主義的な土壌があるかと言われると、それも怪しいのです。
大阪大学の大竹文雄教授が、1年ほど前の週刊東洋経済に寄稿していらっしゃった(面白かったのでとっておいた)のですが、
+++++++++++++ちょっと要約します++++++
市場競争とセーフティネットという、経済学者が考える標準的な組み合わせは、日本人の常識ではないようだ。
「貧富の格差が生じるとしても、自由な市場経済で多くの人はより良くなる」
という考え方にあなたは賛成するだろうか。
PEW研究センターと言う米国の調査機関が2007年に各国で意識調査をしている。
日本では49%しか、この質問に賛成していない。
米国 70%
カナダ 71%
スウェーデン 71%
イギリス 72%
韓国 72%
イタリア 73%
中国 75%
スペイン 67%
ドイツ 65%
フランス 56%
ロシア 53%
主要国の中では日本人の市場経済に対する信頼感の低さは際立っている。
では、日本人は政府に頼っているのだろうか。
同じ調査で、
「自立できない非常に貧しい人たちの面倒を見るのは国の責任である」
という考え方に賛成するか否かを尋ねている。
日本ではこの考え方に賛成しているのは59%である。この数字も国政的には際立って低い。
ほとんどの国で80%以上の人が、貧しい人の面倒を見るのは国の責任だ、と考えている。
カナダ 81%
フランス 83%
イタリア、スウェーデン、ロシア 86%
韓国 87%
中国 90%
イギリス 91%
ドイツ 92%
スペイン 92%
国の役割に否定的だと考えられる米国でも、70%の人が貧しい人たちの面倒を見るのは国の責務だと考えている。
多くの国では、市場経済と国の両方を信頼している。つまり、市場経済によって国全体の豊かさを増し、市場競争から貧困者が生まれれば、その面倒を見るのは国の責任だという考え方だ。
しかし、日本では格差拡大への対策として、セーフティネットではなく規制強化が議論される、少し変わった国である。
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少しではなくて、ずい分と変わった国だと思います。
与謝野大臣は、社会民主主義思想に基づいて、何をどうしたいと言うのでしょうか?
少なくとも、自由民主党の理念には反していると思われます。
それとも理念などと言うものは、どうでも良いのでしょうか?
ヴォータンは、与謝野大臣の発言の裏に、鼻持ちなら無い官僚支配と既得権益層擁護の臭いを感じます。
競争が制限されることで利益を得るのは、既得権益層です。
例えば、今苦労している非正規雇用状態にある人達ではありません。
市場経済をベースに経済運営をされると、既得権益層は新規参入者から脅かされる訳ですから、競争制限大賛成です。
ただ、悲しいことに市場経済に対して反発するもう一つの階層は、市場競争で敗れて、ある意味困窮してしまった人達です。
与謝野大臣の発言が気になるのは、この困窮した人達を助けると言う大義名分で、既得権益層の利権を守ろうとしているところです。
弱者救済の為に、競争を制限すると、階層が固定してしまうだけでなく、全体の豊かさが損なわれる為に、弱者はいつまで経っても弱者且つ誰も今より豊かになれないと言う悲しい世界となるのですが、、、
大竹教授が1年前におっしゃっていたとおり、日本は規制強化=競争制限の方向に向かっていますから、みんなで仲良く貧しくなりますね。