「ものつくり敗戦-『匠の呪縛』が日本を衰退させる」を読む
また、書評です。
| ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる (日経プレミアシリーズ) 著者:木村 英紀 |
金融危機以降、虚飾の金融工学・金融技術云々と言う批判すると共に、
「ものつくりに回帰せよ」
と言う論調が聞こえてきますが、そんな安易な風潮に対するアンチテーゼとなる本です。
金融工学に関して言うならば、ヴォータンは決して金融工学が間違っていたのではないと思っています。
むしろ、金融工学に「格付け」などと言う、かなりアナログな思想を入れてしまい、「工学」的な思考を徹底させなかったことに問題があると思っています。
まあ、日本の金融機関は、全然追いつけてなくてラッキーでしたが、、、、
この議論はさておき、著者は決して「ものつくり」を否定するのではなく、「何をつくるのか」と言うことが変化していることに気付かないことに警鐘をならしています。
道具が機械になり、機械がシステムとなり、普遍化を目指すものが勝つ、、と言う著者の論理立てには非常に説得力があります。
例として挙げている、旧日本軍がシステム化と言う発想を持たなかった為、それでなくても資源の乏しい国の兵隊が、互換性の無い兵器で闘っていたと言う悲しい話は、説得力があります。
ただ、正直言って、文章はド下手です。
しかも、科学史・技術史の説明が冗長で、著者の主張にたどり着く前に、読むこと自体挫折してしまう人が出るのではないかと危惧してしまいます。
非常に参考になる発想だと思いますので、そこを何とか持ち堪えて、読んでみて頂きたいと思います。

