「会社とは-Kゼミ24人の軌跡」再読
「会社とは-Kゼミ24人の軌跡」斎藤茂男(日本経済新聞社)
ヴォータンの人生を変えた本です。
本棚の整理をしていたところ、奥の方から出てきて、、、、そのまま、全部読み直してしまいました。
1981年発行のあまりに古い本なので、Amazonのアフィリなどから、皆さんにご覧頂くのに参考となる様な、詳細な情報を引っ張ってくることが出来ませんでした。
その後、筑摩書房から文庫本として
「サラリーマンは幸福か-慶應Kゼミ24人の軌跡」
と題を変更して発行されていますが、図書館で借りるか中古本として買うしかないと思います。
著者は当時の共同通信社の編集委員です。
何か特別な潜入ルポや、血湧き肉踊る様なドキュメンタリーではありません。
ひたすら、慶應義塾大学を卒業した35歳~40歳のサラリーマンにインタビューをし、それを変な脚色をせずに、淡々と書き留めています。
当時、ヴォータンは入社2年目。ようやく、邦銀の支店の「外回り」に出る様になり、会社勤めに様々な疑問を感じ始めたころでした。
35歳~40歳と言えば、会社では中堅どころの一番活躍している世代のはずです。
しかも、慶應義塾大学のK-ゼミ(おそらく加藤寛先生ではないでしょうか?)出身者と言えば、間違いなくエリート街道を走っているはずです。
ところが、ヴォータンが感じたのは、諦観とでも呼ぶべき、ある種の無力感です。
もちろん、声高に会社の悪口を言う訳でもなく、不満をぶつけるでもなく、どの方も淡々と語るのですが、仕事をすることに大きな価値を見出している訳でもなく、ビジネスの世界でのし上がってやると言った野心が感じられる訳でもなく、、、
今、考えると、日本の会社で偉くなるには、「出る杭」になってはいけないので、そう言う態度を取ることが、処世術として身についていたのかもしれませんが、入社2年目のヴォータンには、何とも夢のない世界に見えました。
当時、ヴォータンは、2年目の現実に直面しながらも、まだ新入社員の志と言うべきか、漠然と、将来このビジネスの世界で大きくなってやろうという野心を持っていました。
それだけに、自分が15年後に、こう言うことを語る人になっていくのかと思うと、途端に自分の人生が、とても寂しいものに思えてなりませんでした。
もちろん、どの方も、相当なインテリですし、きちんと物事を考えてお話になっているのですが、それが分るだけに、余計に寂しくなってしまいました。
ヴォータンは、この本を読んだ1年後に、ディーリング・ルームに配属され、それこそ世界観が変わるほどの変化を経験しました。
実は、卒業前にゼミの担当教授から大学院に行くことを薦められていたので、大学に戻ることも考えていたのですが、この異動のお陰で、疑問を感じていた邦銀に留まることになりました。
しかし、それから4年後に邦銀を出てしまいます。
「どうして?」
と、聞かれると、
「マーケットの世界にずっと居たかったから」
と答えるのですが、実は心の奥底に、この本で読んだインテリのエリート・サラリーマンの先輩方の、あまりに寂しい心象風景が残っていたことも、大きな要素だったと思います。
30年近く前の本ですが、今読み返してみても、古さを感じません。
著者の文章力の高さもあって、非常に読み易い本です。
サラリーマンとなったインテリが何を考えていたのかを知る意味で、一読に値すると思います。
ここの登場されていた皆さんも、もう60歳を過ぎていらっしゃいます。
今、インタビューしたら、どうお答えになるでしょうか。。。。




