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2010年5月24日 (月)

ブラウン元英首相の失言

イギリスの総選挙では保守党が勝ったものの、単独過半数を取れず、自由民主党との連立政権を組むことになりました。

自由民主党が得票率23%で、議席率では8.8%となったことから、死票の多い単純小選挙区制の弊害を感じた方も多いと思いますが、その辺りの話は、あちらこちらで指摘されていますので、パスします。

 

「連立だから、必ずしも不安定ではない。私の政権も連立政権です」

と、お祝いの電話で話したと語った総理大臣を見て、恥ずかしさのあまりTVを消してしまいましたが、、、

 

今日は、日本でも一時報道されたブラウン首相の失言問題に関して、発生直後に某メディアの知り合いからコメントを求められて、返信したメールを再録させて頂きます(一部、記事になっています)。

ちなみに、彼からの質問は

「あの程度の発言で、大きな影響が出ると思うか?」

でした。

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ブラウン英首相の発言は、選挙戦に深刻な影響を与えると懸念しています。

理由は以下の3点です。

bigotと言う単語

もちろん、これは宗教や政治、人権に関して頑迷な人と言う意味なんですが、当社の英語国民に確認したところ、

「普通の意味はそうなんだけど、この使い方だと、相手をひどく非難していることになる。皆さんも知っている典型的な差別用語のracistよりもひどい語感がある」

と言っていました。まあ、一国の宰相が他人を評価して使ってよい言葉ではないそうです。

 

②再犯

記事にもある通り、ブラウン英首相の評判は

his reputation as arrogant, bullying and bad-tempered.

です。

日本ではどの程度報道されたのか定かではありませんが、昨年の11月頃に

「戦死者の遺族に宛てたお悔みの手紙に、重大な誤字、誤記があり、遺族が激怒した」

と言う事件がありました。

 

イギリスでは、戦死者に対して総理大臣が、「直筆のお悔みの手紙を出す」との習慣があるとのことです(私も、11月の事件があるまで知りませんでした。もしかしたらブラウン英首相だけがやっているのかもしれませんが)。

 

その手紙で、戦死者の名前を間違った(JanesJames)上に、文章にも誤字が目立っており、(condolence:おくやみ と言う重要な言葉のスペル・ミスもあったらしいです)、しかも「書きなぐった様な筆跡」であった為、遺族が激怒したと言う事件です。

ちょっと、気の毒なのは、ブラウン英首相は、子供の時に片目を失明しており、残りの目の視力にも障害がある為、どうしても「悪筆」となりがちなことです。

ただ、その後、ブラウン英首相自身が電話をして謝罪しているのですが、その電話の録音が公開されて、問題が深刻化しました。

ジェーンズ夫人が

「英軍のヘリコプターなどの装備の不備が無ければ、息子は死ななかった」

と問い詰めた時に、

「十分だった」

と強い調子で答えてしまいました。

当時、議会では、アフガニスタンでの戦争目的が不明確、且つ派遣軍の装備が不十分とのことで、保守党から攻撃を受けていました。

 

それだけに、思わず「十分」と語気を強めてしまったのでしょうが、

「イギリスの地上軍は、同じアフガンのアメリカ軍と比較しても、明らかに空からの支援が不十分」

と言うのは、共通認識となっていたそうです。

 

その為「arrogant」「bullying」と言う印象だけが残ってしまいました。

そこへ、今回の発言ですので、「またか」と言う印象が強いと思われます。

柔道で言う「合わせ技一本」で負けとなるかもしれません。

 

③興奮した発言

仰る通り、単語の選び方に問題があったにせよ、単に

「彼女の偏見はひどいな」

程度だったら、それほど大きな問題とはならなかったと思います(色々な意見があるのは当然ですから)。

ただ、私も1回しかテープを聞いていないのですが、その前後に

Disaster!

「誰があんな人を相手に選んだんだ」

と側近に対して、強い調子で文句を言っている声が聞こえました。明らかに「興奮」している様子が分かりました。これは、彼のもう一つの

bad-tempered(気難しい、短気)」

と言う評価を強めてしまったと思われます。

しかもこれは、2004年の民主党大統領予備選で、それまで絶好調だった、ハワード・ディーンが、アイオワ州の党員集会(つまり一番最初ですね)で予想外の3位となった時に、いくつかもの州の名前を次々に挙げて

「負けるもんか!イエー!!」

と叫び続ける映像が報じられた途端に、支持率を激減させたことに通じると思います。

つまり、「冷静さを欠く人間はトップにはなれない」と言う、冷徹な市民の評価です。

 

これは日本人としては、やや理解がしづらい(私は、ハワード・ディーンが叫ぶのを見て、「これは元気だ。へこたれない人だ」と思ってしまった方なので)のですが、大統領と首相と言う違いがあっても、自分自身、自分の夫や子供が、その命令により戦地に赴くことが有ると言う意識が、

「冷静さを欠く人物」

を嫌う背景にあるのだと想像しています。

その意味で、車に乗り込むなり、即座に側近をなじる声が放送されてしまったのは、大きなマイナスだと思います。

 

おまけですが、車に乗る直前まで

「お話しできて良かった」

と、ニコニコと彼女に手を振っていて、乗り込んだ瞬間に

Disaster!」

と言ってしまったので、二枚舌的な印象も与えてしまったと思います。

 

あそこは、愛想笑いや手を振ったりせずに、

「厳しい指摘だが、重要な問題だと思う」

とでも言って、少し難しい顔をして車に乗り込むべきだったと思います。

さっきから、色々と外電を見ているのですが、「すぐに謝罪に行った」と言う点は、評価されているようです。

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